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音楽夜話vo.8 ( 2000年10月29日付け)

   ・スマイルジャマイカ(前編)

   今回は、ボブ・マーリィ暗殺未遂事件の話を







SMILE JAMAICA
(コンサートの為にウェィラ−ズが作成したレコード)












 
   狙撃直後のボブ









                      1976年

世界的有名バンドとなった、ボブ・マーリィ&ウェイラーズはローリング・ストーン誌で ゛今年のバンド゛ に選ばれるなど好調な活動を展開していた。 しかし祖国ジャマイカでは社会主義政権のマンリー政府(PNP)と、資本主義を掲げるジャマイカ労働党(JLP)の覇権争いの中で混乱しており、1月と6月には夜間外出禁止令、国家非常事態宣言が出されるなど混迷はますます深まっていた。 
そういった中、敵対する党派の間に平和を呼びかけようという ゛スマイル・ジャマイカ゛ と題された無料の慈善コンサートが計画され、日時は1976年12月5日に決定した。 しかしこれを受けて、政府は総選挙の日程を12月20日と発表する。 (というのも、過去にボブ・マーリィがPNP支持の発言をしたことがあり、今回もこの大規模コンサートでの彼の発言を期待してのことだった) 
一転、コンサートは危険な雰囲気が漂ってくることになる。ボブ・マーリィ&ウェイラーズは、たびたび誰だかわからない声でコンサートを中止するよう通告を受けていた。 コーラスの一人マーシャ・グリフィスは危険を考えて、きっぱりと出演を断った。 

コンサートを間近に控えた12月3日
、ボブの自宅では日没からコンサートに向けての練習が開始された。 穏やかな夜、豪邸にはバンド・メンバー、ホーン・ミュージシャン、アイスリーズ (コーラス)、子供たち、、その他多くの居候がいた。
ウェイラーズは、それまでコンサートではあまりやったことがなかった曲、「ジャー・リヴ」 に磨きをかけていた。 午後8時45分頃、ボブは休憩をとることにし、 ミュージシャンたちに歌のサビの部分を練習しているように言って、彼は本館の小さなキッチンにお茶を飲みに行った。 その時妊娠中のジュディ・モワット (コーラス) が気分が悪いと言い出した為、ネヴィル・ゲーリックに自宅まで車で送らせ、入れ替わりに午後9時ちょっと前、マネージャーのドン・テイラーが車で乗りつけた。 テイラーは仕事でクリス・ブラックウェル (アイランド・レコード代表) に会いに来たのだが、まだいなかったためボブのいるキッチンへと向かった。 ボブとドン・キンジ−がグレープフルーツを食べていた。 テイラーも同じ物を注文し、受け取ろうと歩きだした時だった。 彼らは最初の銃声を聴いた。 見るとまわりの窓ガラスが粉々になって飛び散っていた。
あっというまに2台の白いダットサンが敷地内に侵入していた。 一台は正面ゲートを封鎖し、もう一台は建物の前に急ブレーキをかけて止まった。 6人のガンマンが飛び出し、2人が前面に見張りに立ち、他の4人は庭の四方に散らばって、建物などに火をつけ出した。 最初に聴こえたのは、爆竹のようなパーンとはじける音だった。 それからは、銃弾が飛び交うたび、窓が割れ、材木や壁が崩れ落ちる音で空気が引き裂かれた。
子供たちを脇のドアから外へ出そうとして、リタ (ボブの奥さん・アイスリーズのメンバー) が前庭いた襲撃者に撃たれた。 同時にもう一人がリヴォルヴァ−を手にドアから押し入ってきた。 彼は16歳ぐらいの少年で明らかに怯えていて、わけもわからず引きがねを引きまくり、走り去った。 キッチンにもサブ・マシンガンを持った覆面の男が侵入してきた。
ドン・キンジ−は語る 
  「ひとりの男がそこの小さな裏口から入ってきたんだ。 それで、そいつはドアの内側で銃を構えて、僕らの
  いる片隅に向けて、すっかり弾がなくなるまで撃った。 そうだよ、ボブとテイラーがまさにそこにいたんだよ」 
ドン・キンジ−は何かの物陰に飛び移ったが、ボブはその場をしのごうと、じっと一所に身をかがめていた。 
  「やつは隅にいる僕らをちゃんと見たんだ。 ボブがそこにいるのもわかっていた。 だから奴は狙ってたん
  じゃなく、ただ撃ってただけなんだと思う」
2発が壁に、5発がテイラーに命中し、そして一発がボブの心臓の下の胸骨をかすめ左腕の2頭筋を見事に付き抜けていた。 そうしてガンマン達は立ち去った。

それから数分間、沈黙の時が流れた。 まだ襲撃者が立ち去ったか不安だった。 やがてこの現実がはっきりと意識された時、家中にパニックが走り、悲鳴が渦巻いた。 10分後に最初のパトカーが現場に駆けつける頃には、ボブとリタはすでに病院に向かっていた。 そのあとに重症のテイラーとバンド・メンバーのルイス・シンプソンが続く。 幸いなことにあの大量の銃弾発射にもかかわらず、死亡者はいなかった。 だが、まだわからない。 他の残りのメンバーは負傷者を送りだした後、身の危険を感じ現場から立ち去った。 
狙撃事件の20分後にはボブの自宅は警官以外いなくなった。

ジュディを送ったネヴィル・ゲリックは午後9時半の臨時ニュースを聞き、あわてて全速力で引き返していた。 
パンクして止まってしまったボブのBMWを発見した警官が銃を抜く
  「ボブ・マーリィの車だ !!」。 
ネヴィルが自己証明すると、BMWは警察の護送でボブの自宅まで辿り着いた。 そこには血のついた惨劇の跡があった。

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